鈍感(チサキ)
お付き合いが始まる半年前
まだ彼の気持ちにはまったく気づかない時に、(と言っても告白されるその時まで気づかなかったけど)
話の流れで滝を見に行こうという事になった
この頃はまだ日中に出掛けるといっても、一緒に過ごす時間は4〜5時間程度
家庭のあるあたしに気遣ってくれてたという事と、もちろん彼も家庭があるから遅くまで出歩くのもきっと都合が悪かったんだと思う
滝付近まで車で連れて行ってくれて、
そこから滝までの道をお喋りしながらのんびり歩いていく
季節的に虫がちょこちょこ飛んでいて、、
虫が大の苦手なあたしは、虫に気づいては
逃げたり、彼を盾にして彼に触ってしまったり
彼に触ったのはこの時が初めてじゃないかな
でも触るという感覚ではなく、ただただ虫から逃げたい、ただそれだけだったけど
滝が間近で見えるところに到着して
しばらく2人で滝を眺めながらお喋りをする
その時に、結婚してから1度も旦那以外の誰も好きになった事がないかと聞かれたのを覚えてる
あたしは正直に1度だけある、と答えた
でも気持ちを伝えたわけでも、どうこうなったとかでもなく、密かに想っていただけだった
そして彼もまた1度だけある、と言っていた
でも片思いを楽しむタイプだから相手には伝えていない、と言っていた
滝を見ながら、そんな事まで聞き合える関係になったんだな〜なんて思っていた
それからランチを食べてまたお喋り
細かい会話は覚えてないけどすっごくたくさん笑ったのは覚えてる
そしていつものように家の近くまで送ってもらい、帰宅してからお礼のLINEをする
そして返信をもらう
そこでラリーになる事はほぼない
ただいつもと違ったのはLINEの内容だった
👦🏻『自分の精神状態がよくないのか、Sがめっちゃいい子に見えてどうかしてます笑』
👧🏻『自分で言うのもなんですが、そんなに悪い子ではないと思いますよ笑』
👦🏻『いい子🟰女!要は女として見てしまったということですわ笑』
いい子って女として見てるっていう表現なのを初めて知った、、
え?女として見てるっていい子って言うの?
いやいや、そこはどうでもよくて笑
女として見てしまうってなんだ?
急にらしくない事を言い出した、とは思ったけど、
今日は楽しかったっていう事で
きっとノリなんだろうな、と疑問はすぐに消えた。
でもまさかこんな冗談を
彼が言ってくるとは思わなかったけど
でもちゃんと考えたところでそんなわけはないと本気で冗談と受け取ったあたしは、そんなLINEは完全にスルーで、またいつも通りの日々を送っていた
今思えば、あたしはほんとに鈍感だったのだろうけど、彼は彼で何を思ってこんな事を伝えてきたんだろうと思うぐらい、その後の彼もまた何にも変わらない態度で接してくれていた
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照れ隠し(タカシ)
この頃、好きという感情を自分の中に留めとくことが出来なくなってきていた
デート中、彼女の虫嫌いのおかげで、触れ合えることが嬉しかった
もっと虫こい!と心の中で思っていたのを覚えている
触れられる事で我慢してた気持ちが、制御できなくなってしまった
結婚してから恋をしたことある?と聞いたのは、俺にもチャンスがあるのかの確認のため
そして1度だけあるなら俺にもチャンスがある!と、超ポジティブに考えていた
LINEでいい子と表現したのはわかってる通り照れ隠し
女として見てしまったと、ストレートに表現出来ないくらい照れ屋なのは、結婚してから10数年、妻以外の女性と接してこなかったから、女性に対しての免疫がほぼなく、受け答えも中学生レベル
少しの触れ合いでキュンッ!としてしまうくらい心も中学生レベルで純粋なのである
しかし色恋沙汰を面倒くさそうにしてた彼女を見てるので、どうやって気持ちを伝えようかと半年以上悩んだ
この日を境に彼女に対しての想いはどんどん膨らんでいった
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